データで見る人気の仕事と採用戦略 – 年代別・職種別の条件を解き明かす

「人が集まらない」「求める人材が来ない」といった採用課題は、多くの企業が抱えています。しかし、その根本原因は、求職者が「今、どのような仕事に魅力を感じているのか」を十分に理解できていない点にあるかもしれません。

本レポートでは、最新の公的データ(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」などを想定)に基づき、年代別・職種別に人気の仕事とその条件を深掘りします。そこから導き出される採用成功のための具体的なヒントを探ります。

1. 年代別 – 優先される仕事の条件の変化

キャリアステージによって、仕事に求める価値観は大きく変化します。若年層からベテラン層まで、それぞれの年代が重視するポイントを把握することが重要です。

年代別 仕事選びで重視する要素(複数回答)
20代 – 「成長機会」約 65%
65%
30代 – 「ワークライフバランス」約 70%
70%
40代 – 「安定した雇用と報酬」約 75%
75%
50代以上 – 「経験を活かせるか」約 60%
60%

※出典 日本労働政策研究・研修機構「働くことと生活に関する意識調査」を基に筆者作成(架空データ含む)

20代の若手層は、自身のスキルアップやキャリア形成に直結する「成長機会」を強く求めています。一方、家庭を持つことの多い30代は、「ワークライフバランス」を重視し、柔軟な働き方ができる職場に魅力を感じています。

40代以上では、将来への不安から「安定した雇用と報酬」が上位に来る傾向にあり、さらに経験豊富な50代以上では、これまでのキャリアを活かし、貢献できる場を求めています。

2. 職種別 – 高い人気の背景にある具体的な条件

特定の職種が高い人気を維持しているのには、明確な理由があります。そこには、時代が求めるスキルや働き方が反映されています。

人気職種 平均年収帯 人気の背景にある条件 具体的な例
ITエンジニア(特に開発系) 約 500万 – 800万円 スキルに応じた高報酬、リモートワークの浸透、キャリアアップの多様性 Webアプリケーション開発、データサイエンティストなど
医療・介護専門職 約 350万 – 600万円 社会貢献性、景気に左右されない安定性、資格による専門性 訪問看護師、理学療法士、介護支援専門員など
コンサルタント 約 700万 – 1,500万円 高度な問題解決能力、プロジェクト単位での多様な経験、成果主義 DXコンサルタント、経営戦略コンサルタントなど

ITエンジニアは、高い専門性と成果が報酬に直結しやすいこと、そしてリモートワークなどの柔軟な働き方ができる点が特に若手から支持を集めています。

医療・介護専門職は、社会的な貢献度が高く、また少子高齢化社会において需要が途切れない安定性が大きな魅力です。資格取得によるキャリアアップパスも明確です。

コンサルタントは、高難度の課題解決を通じて得られる自己成長実感と、実力に応じた高額報酬が魅力です。多様な業界・テーマでの経験が積める点も、キャリア志向の高い層に人気です。

3. 採用成功のためのロードマップ – 現状と課題、具体的対策

人気の仕事の条件を理解した上で、自社の採用戦略をどのように見直すべきか、具体的なロードマップを提示します。

現状と課題 – 「自社の強み」と「求職者のニーズ」のズレ

多くの企業は、求職者が本当に求めている条件と、自社がアピールしている条件の間にズレが生じています。特に、賃金以外の「非金銭的報酬」の提示が不足しているケースが散見されます。

採用を成功させるための3つのステップ
ステップ1. ターゲット年代・職種のニーズ深掘り

まず、どのような人材を獲得したいのかを明確にし、そのターゲット層が「なぜ仕事を選ぶのか」を徹底的に調査します。アンケートや面談を通じて、表面的な条件だけでなく、潜在的な欲求(例:将来の不安、自己成長欲)を把握してください。

ステップ2. 「非金銭的報酬」の明確化と発信

給与や福利厚生といった「金銭的報酬」だけでなく、「仕事のやりがい」「職場の人間関係」「スキルアップ支援」「ワークライフバランスの実現度」など、自社が提供できる「非金銭的報酬」を具体的に言語化し、求人情報や採用サイトで積極的に発信します。

例えば、

  • 「年間平均残業時間 〇〇時間」
  • 「資格取得支援制度 〇〇種類、年間取得者数 〇〇名」
  • 「部署横断プロジェクト参加機会 年間〇〇件」
といった具体的な数値を提示することが重要です。

ステップ3. 多様性を受け入れる柔軟な採用体制

従来の「画一的な人材像」に固執せず、時短勤務、副業・兼業、リモートワークなど、多様な働き方を受け入れる柔軟な採用体制を構築します。これにより、これまでリーチできなかった優秀な人材層への門戸を開くことができます。

特に、子育て中の女性や介護を担う人材、地方在住の専門職など、ポテンシャルを持ちながらも地理的・時間的制約から就業が難しかった層にアプローチすることで、採用競争力を高めることが可能です。

総括 – 採用は企業文化の変革から

採用の成功は、単に求人広告を出すことではありません。それは、求職者のニーズに応え、自社の魅力を再定義し、働き方や企業文化そのものを変革するプロセスです。データに基づき、求職者が本当に求める条件と自社の強みを合致させることで、持続的な採用成功を実現し、企業の成長へと繋げてください。

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