「Indeedに求人を出しているのに、なぜか閲覧数が伸びない」「応募が集まらない」といった悩みは、多くの採用担当者が抱えています。その原因の多くは、求職者が使う「キーワード」と、求人原稿に書かれている「キーワード」のミスマッチにあります。 私たちが普段使うGoogle検索と同じ感覚で求人を作ってしまうと、実は大きな機会損失を生んでいるかもしれません。この記事では、Indeedの検索エンジンがどのようにキーワードを認識するのか、Googleとの違いを交えながら解説し、求職者にしっかりと求人を届けるための具体的なSEOライティング術と、職種別のキーワードセットを提案します。
IndeedはGoogleと違う – 表記ゆれの吸収は限定的
採用担当者がまず理解すべき最も重要な点は、Indeedの検索エンジンは、Googleほど「親切」ではないという事実です。私たちは日常的にGoogle検索を使っているため、その常識をIndeedにも当てはめてしまいがちですが、これが大きな罠となります。
Googleは、検索された言葉の「意図」や「文脈」を深く読み解こうとします。例えば「クルマの仕事」と検索すれば、「自動車」という言葉しか使っていない求人や、「整備士」「板金塗装」といった関連職種まで賢く見つけ出してくれます。これはGoogleが、ユーザーが本当に知りたい情報へ導くことを最優先しているからです。
一方、Indeedのアルゴリズムは求人情報に特化しており、より「辞書的」に、つまり「原稿に書かれている言葉そのもの」を直接参照する傾向が強いです。もちろん、近年のAI技術の進化でIndeedも賢くなってはいますが、その表記ゆれや類義語の吸収範囲は、Googleに比べて限定的です。完全に自動で解釈してくれると期待するのは非常に危険です。
具体的な「表記ゆれ」の例
以下のようなキーワードの組み合わせは、求職者にとっては同じ意味でも、Indeed上では別物として扱われる可能性があります。そのため、両方を原稿に含めることが「保険」として機能します。
- 職種名の違い: 「プログラマー」と「PG」、「看護師」と「ナース」
- 業務内容の違い: 「データ入力」と「データエントリー」、「顧客対応」と「カスタマーサポート」
- 一般的な言葉と専門用語: 「自動車」と「クルマ」、「会計」と「アカウンティング」
- 働き方の違い: 「在宅勤務」と「リモートワーク」と「テレワーク」
この違いから導き出される結論は、採用担当者は「単なる情報提供者」ではなく、求職者が使いそうな言葉を予測し、原稿に盛り込んであげる「翻訳者」のような役割を担う必要がある、ということです。「このくらい自動で読み取ってくれるだろう」という期待を捨て、能動的にキーワードを配置する姿勢がIndeed攻略の鍵となります。
求職者の検索意図を網羅する – Indeed SEOの基本戦略
では、具体的にどのように求人原稿を作成すれば良いのでしょうか。重要なのは「職種名」と「仕事内容」の2つです。
Step 1 – 職種名は「具体的」かつ「一般的」な名称を併記する
職種名はIndeedにおいて最も重要なキーワードです。求職者が最初に入力する言葉であり、マッチングの根幹をなします。ここでのポイントは、社内での役職名ではなく、世間一般で通じる職種名を使うこと、そして具体的な業務内容や表記ゆれも加えることです。
ケース1:営業職を募集する場合
営業担当
法人営業 / ITソリューションセールス(SaaS・ソフトウェア担当)
→「営業」という一般名詞と「セールス」という表記ゆれの両方をカバー。さらに「法人」「IT」「SaaS」といった具体的なキーワードを加えることで、より多様な検索ニーズに応え、求職者との接点を増やします。
ケース2:エンジニア職を募集する場合
エンジニア
Web開発エンジニア(Java/Spring)/ SE・プログラマー(PG)
→「エンジニア」だけでなく「SE」「プログラマー」「PG」といった求職者が使い分けうる全てのキーワードを網羅することで、検索される可能性を最大化します。
Step 2 – 仕事内容にキーワードを「網羅的」に散りばめる
仕事内容のセクションは、キーワードを最も多く盛り込める場所です。求職者がその職種を探す際に、同時に検索しそうな言葉を想像し、文章として不自然にならないように組み込んでいきましょう。
盛り込むべきキーワードの種類:
- 1. 同義語・類義語・表記ゆれ 例: 「プログラマー」「PG」、「リモートワーク」「在宅勤務」「テレワーク」
- 2. 使用ツール・技術・言語 例: 「Java」「Python」「AWS」「Salesforce」「Excel」「PowerPoint」「CAD」
- 3. 関連資格・スキル・経験 例: 「簿記2級」「PMP」「マネジメント経験」「顧客折衝」
- 4. 働き方・待遇・福利厚生 例: 「フレックスタイム」「年間休日125日以上」「残業月10時間以内」「家賃補助」
これらのキーワードを無理に詰め込むのではなく、「この求人に関連する情報」として、自然な形で記載することが大切です。
職種別・具体的なキーワード戦略の組み方
ここでは、特定のスキルや状況を想定し、どのようにキーワードセットを構築するかの具体例を紹介します。自社の求人原稿を作成する際の考え方の参考にしてください。
ケース1:一般的なPCスキル(Officeソフト)を求める事務職
事務職の募集で、基本的なPCスキルを必須とする場合のキーワード展開例です。「パソコンスキル」という曖昧な言葉だけでなく、具体的なソフト名とその表記ゆれを網羅します。
Excel関連:
- Excel
- エクセル
- 表計算
- VLOOKUP
- ピボットテーブル
- マクロ
- VBA
PowerPoint関連:
- PowerPoint
- パワーポイント
- パワポ
- プレゼン資料作成
その他:
- Word
- ワード
- 文書作成
- PCスキル
- MOS
- Microsoft Office Specialist
ケース2:Webサイト運営を担当するWeb担当者
自社サイトの更新や簡単なバナー作成などを担当するWeb担当者やマーケティング職を募集する場合の例です。使用するツールや関連業務を具体的に示します。
役割・職種名:
- Web担当
- Webマーケティング
- Webディレクター
- サイト運営
使用ツール・技術:
- WordPress
- ワードプレス
- CMS
- HTML
- CSS
- Photoshop
- Illustrator
- フォトショップ
- イラレ
関連業務:
- SEO対策
- コンテンツ作成
- バナー作成
- アクセス解析
ケース3:顧客対応を行う営業事務やCS
電話やメールでの顧客対応がメインとなる、カスタマーサポートや営業事務向けのキーワード展開例です。役割名と業務内容の表記ゆれを意識します。
役割・職種名:
- カスタマーサポート
- CS
- カスタマーサクセス
- テクニカルサポート
- ユーザーサポート
- 営業事務
- 営業アシスタント
具体的な業務内容:
- 顧客対応
- 電話応対
- メール対応
- 受発注管理
- 納期管理
- 見積書作成
- 請求書作成
まとめ -「求職者視点」がIndeed攻略の鍵
IndeedのSEO対策は、検索エンジンの目を欺くためのテクニックではありません。「自社の求人を探している未来の同僚は、一体どんな言葉で検索するだろう?」と、求職者の立場に立って想像力を働かせることが本質です。
今回の内容を、採用活動を成功させるための具体的なアクションに落とし込みましょう。
- 「IndeedはGoogleではない」と認識する: 表記ゆれや類義語は自動で吸収されない、という前提に立ちます。
- キーワードを洗い出す: 募集職種について、求職者が使いそうな言葉(同義語、ツール名、資格名、働き方など)をブレインストーミングします。
- 職種名を最適化する: 「一般的名称+具体的業務+表記ゆれ/略称」を意識して、最も効果的な職種名を設計します。
- 仕事内容を充実させる: 洗い出したキーワードを、仕事内容や応募資格のセクションに、自然な文章で盛り込みます。
- 効果測定と改善: Indeedの管理画面で表示回数やクリック数を確認し、効果が薄い場合はキーワードの見直しや職種名の変更を試みます。
このサイクルを回すことで、求人原稿は「ただの情報」から「求職者に届くメッセージ」へと変わり、採用成功の確率を大きく高めることができるはずです。