多くの企業が採用活動の主戦場として活用する「求人検索エンジン」。中でも国内で特に存在感を放つのが「Indeed」と「求人ボックス」です。どちらも強力なプラットフォームですが、「両者のユーザーは同じなのか?」「広告費はどちらが効果的か?」といった疑問を持つ採用担当者も少なくありません。 本記事では、公開されている情報や市場の動向を基に、この二大巨頭を徹底比較。それぞれのマーケティング戦略、ユーザー層、広告単価の違いを分析し、自社にとって最適な活用法を考えます。
利用者数とユーザー層 – 規模のIndeed、独自の強みを持つ求人ボックス
まず、両プラットフォームの基本的な規模感と、そこに集まるユーザー層について見ていきましょう。採用活動の第一歩は、求める人材がどこにいるかを知ることです。
Indeedは、月間利用者数2,800万人以上(※SimilarWeb 2025年6月時点の推定値)とも言われ、世界No.1の求人検索エンジンとしての圧倒的な知名度と集客力を誇ります。テレビCMなどの大規模なプロモーションにより、転職潜在層から顕在層まで、あらゆる年代・職種のユーザーが利用しているのが特徴です。
一方、求人ボックスは、価格.comの運営で知られるカカクコム社が手がけ、利用者数は月間800万人を突破(※公式サイト公表値)。後発ながらも急成長を遂げています。「価格.com」の運営で培われた比較・検討サイトとしての信頼性から、
つまり、「圧倒的なリーチ力で、あらゆる層に広くアプローチしたいならIndeed」「コストを意識し、条件をしっかり比較する層に的を絞りたいなら求人ボックス」という基本的な使い分けが見えてきます。
マーケティングと広告単価 – 戦略の違いがコストに直結
両社のマーケティング戦略の違いは、広告のクリック単価(CPC)にも影響を与えています。採用コストを最適化するためには、この違いを理解することが非常に重要です。
プラットフォームの戦略比較
項目 | Indeed | 求人ボックス |
---|---|---|
マーケティング戦略 | 大規模プロモーション(テレビCMなど)による圧倒的な認知度獲得と、強力なSEOによる集客。 | 「価格.com」との連携、SEO重視の戦略。コストパフォーマンスを重視するユーザーへの訴求。 |
競争の激しさ | 利用企業数が非常に多く、特に人気職種や都市部では広告の入札競争が激化しやすい。 | Indeedに比べるとまだ競争が緩やか。ニッチな職種や地方で優位性を発揮できる可能性がある。 |
結果としてのCPC傾向 | 全体的に高騰傾向。専門職では |
比較的安価な傾向。Indeedの |
職種別クリック単価(CPC)の目安比較
クリック単価は常に変動しますが、市場データに基づくと両者には以下のような価格差の傾向が見られます。特に競争の激しい職種ほど、その差は顕著になる傾向があります。
職種別クリック単価(CPC)の目安比較(※市場データに基づく推定値)
結局、どう使い分けるべきか? – 目的別・最適な活用戦略
これまでの比較を踏まえ、具体的な採用シーンに応じた最適な活用戦略を提案します。どちらか一方に絞るのではなく、両方の長所を活かす「ハイブリッド戦略」が成功の鍵です。
明日から実践する – 採用成果を最大化するアクションプラン
Indeedと求人ボックス、それぞれの特性を理解した上で、次はこの4ステップを実行に移しましょう。これらは一度きりではなく、継続的に回していくことが重要です。
まず認識すべきは、「どの媒体を使っても、待っているだけでは応募は来ない」という厳しい現実です。人手不足を背景に、求職者は「選ぶ側」であり、企業は「選ばれる側」にあります。この前提に立ち、自社の採用課題(応募が集まらない、欲しい人材とマッチしない等)を明確にしましょう。
次に、「誰に」「どこで」アプローチするかを決めます。本記事で解説したように、広く多くの人に届けたいならIndeed、コストを抑え比較検討層に訴求したいなら求人ボックスが基本です。自社の採用ターゲットと予算に基づき、最適な媒体(またはその組み合わせ)を選択します。
媒体を決めたら、魂を込めて求人情報を作成します。給与や条件だけでなく、「この会社で働くと、どんな良いことがあるのか?」という求職者のメリットを具体的に伝えましょう。仕事のやりがい、得られるスキル、職場の雰囲気、ユニークな福利厚生など、他社にはない魅力を言語化することが、クリック率と応募率を大きく左右します。
最後に、最も重要なのが「やりっぱなしにしない」ことです。広告を出したら、管理画面でクリック数、応募数、クリック単価、応募単価を必ずチェックします。効果の低い求人は、タイトルや内容を見直す。媒体ごとの費用対効果を比較し、予算配分を柔軟に変更する。この地道な分析と改善のサイクルこそが、採用成功への道です。
最終結論 – 「これだけやればいい」という幻想を捨てる
本記事を通じて様々な比較と戦略を解説してきましたが、最終的にお伝えしたい最も重要な結論は一つです。それは、「Indeedだけ、求人ボックスだけやればいい」という安易な発想こそが、採用活動における最大のリスクである、ということです。
真の正解は、利用可能な全てのチャネルを「使い倒す」こと。Indeedも求人ボックスも、そして可能であれば他の媒体も併用し、常にそれぞれのパフォーマンスを数字で監視し続ける。そして、その結果に基づいて予算の比率を柔軟に調整し続けること。これこそが、現代の採用担当者に求められる基本的な業務遂行の形です。
採用市場の状況は、常に変化しています。「今はこの媒体の効率が良い」という状況が、数ヶ月後には全く逆転している、などということは日常茶飯事です。アルゴリズムの変更、競合の増加、新たなサービスの登場。変化の波を乗りこなし、継続的に成果を出し続けるためには、特定のプラットフォームに依存するのではなく、市場全体を俯瞰し、データを基に動き続ける俊敏さが不可欠なのです。