「求人を出してもなかなか応募が来ない」「思うような人材に出会えない」――そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
Indeed、求人ボックス、Googleしごと検索といった主要な求人メディアでは、求職者の多くがキーワード検索で仕事を探しています。
だからこそ、あなたの求人を見つけてもらうためには、この「キーワード検索」を意識した原稿作成が不可欠です。
本記事では、有効なキーワードの探し方から、それらを盛り込んだ原稿の作成術、そして効果測定と改善のフローまで、求職者に「見つけてもらう」ための具体的なノウハウを徹底解説します。
なぜ今、求人メディアのキーワード対策が重要なのか?
Indeed、求人ボックス、Googleしごと検索といった求人検索エンジンは、インターネット上のあらゆる求人情報を集約し、求職者の検索キーワードに応じて表示します。これは、まるでGoogleで情報を検索するのと同じような感覚です。求職者は、自分の希望に合う仕事を探すために、職種名、勤務地、スキル、働き方など、具体的なキーワードを入力します。
あなたの求人原稿がこれらのキーワードに適切に対応していなければ、いくら魅力的な条件であっても、求職者の目に触れることすらありません。
検索結果の上位に表示され、クリックされることが、応募に繋がる第一歩なのです。
また、主要な求人メディアの多くはクリック課金型(CPC)を採用しています。表示されるだけで費用が発生するわけではなく、クリックされて初めて費用が発生します。そのため、関連性の低いキーワードでクリックされても費用が無駄になってしまいます。適切なキーワード対策は、費用対効果の高い採用活動を実現するためにも不可欠なのです。
【図解】キーワード戦略による求人原稿作成・改善フロー
効果的な求人原稿を作成し、採用を成功させるためのフローを図で確認しましょう。
有効なキーワードを見つける3つの方法
闇雲にキーワードを盛り込むのは逆効果です。求職者が実際に検索しているキーワードを正確に把握することが重要です。
1. Indeedアナリティクス・求人ボックス採用ボードを活用する
Indeedや求人ボックスには、広告運用のデータを確認できる管理画面(Indeedアナリティクス、求人ボックス採用ボードなど)があります。ここから得られる情報は、求職者が実際にどのようなキーワードであなたの求人を見つけようとしているかを直接的に示してくれます。
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Step 1.
検索キーワードレポートを開く
Indeedアナリティクスや求人ボックス採用ボードにログインし、「検索キーワードレポート」を確認しましょう。ここに表示されるのは、実際に求職者が検索してあなたの求人が表示・クリックされたキーワードです。 -
Step 2.
各キーワードのパフォーマンスを把握する
各キーワードの「表示回数(インプレッション数)」「クリック数」「クリック率(CTR)」を比較します。特に注目すべきは「クリックは多いが応募に繋がっていないキーワード」や「表示回数が少ないキーワード」です。 -
Step 3.
原稿の改善点を特定する
例えば、以下のように比較・把握して改善点を特定します。
・クリック率(CTR)が高いキーワード:求職者の関心を引けている良いキーワードなので、原稿内でさらに強調できないか。
・クリック率が低いキーワード:タイトルや概要文が求職者の意図とずれていないか。原稿の表現を調整することで、クリック率改善が見込めます。
・表示回数が多いのにクリック数が少ないキーワード:求人メディアの検索アルゴリズムには関連性が高いと判断されているが、タイトルが魅力的に映っていない可能性があります。
・想定外のキーワード:意外なキーワードで検索されている場合、その層に響くような表現を追加することで、新たな応募者層を開拓できる可能性があります。
これらの公式ツールを定期的にチェックし、リアルな求職者の検索行動を把握することが最も確実な方法です。
2. ターゲット人材の視点に立つ「想像力」
あなたが採用したい「理想の人物像(採用ペルソナ)」になりきって、どんな情報を、どのような言葉で検索するかを深く考えてみましょう。これは、データだけでは見えにくい「求職者のリアルな意図」を掘り起こす上で非常に重要です。
- ● 職種名:単一の職種名だけでなく、業界で使われる通称や、関連性の高い異称も考慮します。
(例: 「システムエンジニア」→「SE」「プログラマー」「開発」「IT エンジニア」) - ● 経験・スキル:必須要件だけでなく、「活かせる経験」や「歓迎スキル」も洗い出します。
(例: 「簿記1級」「JavaScript」「営業経験」「未経験可」「第二新卒」) - ● 働き方・条件:求職者が重視するライフスタイルや待遇に関わるキーワードです。
(例: 「リモートワーク」「時短勤務」「土日祝休み」「残業なし」「高収入」「駅チカ」) - ● 企業の特色・文化:会社を選ぶ上で重視される「定性的な要素」です。
(例: 「ベンチャー」「大手企業」「スタートアップ」「服装自由」「フラットな社風」)
同業他社の求人や、競合となりうる企業の求人原稿も参考にしながら、求職者目線のキーワードリストを作成しましょう。
3. Googleキーワードプランナーなどの外部ツールを使う
Googleが提供する「キーワードプランナー」などのツールは、Google検索におけるキーワードの検索ボリュームや関連キーワードを調査できます。これらのツールは、求人メディアの外での検索トレンドを把握するのに役立ちます。
- ● 検索ボリューム:特定のキーワードが月にどれくらいの回数検索されているかを知ることで、そのキーワードの需要の高さがわかります。ボリュームの多いキーワードは、より多くの求職者に見てもらえる可能性を秘めています。
- ● 関連キーワード:ターゲットとする職種や業務内容に関連する、求職者が使いそうな複合キーワード(例: 「営業職 未経験」「カスタマーサポート リモート」)を発見できます。これにより、よりニッチで具体的なニーズを持つ層にアプローチできます。
これらのツールで得られたデータと、上記1・2の方法で洗い出したキーワードを組み合わせることで、より網羅的で効果的なキーワードリストが完成します。
上記のテーブルは、様々な職種や条件に関するキーワードが、月間でどれくらいのボリュームで検索されているかを示したデータです。見てわかる通り、「年間 休日 120 日」のような具体的な条件に関するキーワードが非常に高い検索ボリュームを持つ一方、「求人 営業」や「営業 事務 求人」といった一般的な職種名も高い検索数を維持しています。
この月間検索数の違いこそが、キーワード選定の重要なヒントになります。
検索ボリュームが多いキーワードは、より多くの求職者に見てもらえる可能性が高いですが、その分競合も多くなります。一方、検索ボリュームは少なくても、より具体的なニーズを示す複合キーワードは、競争が少なく、応募に繋がりやすい質の高いクリックを獲得できる可能性があります。
自社のターゲット人材がどのような言葉で検索するか、そしてそのキーワードの市場での競争度合いを考慮して、最適なキーワードを選定し、原稿に反映させることが重要です。
キーワードを活かす!応募したくなる求人原稿の作り方
キーワードをただ羅列するだけでは逆効果です。求人メディアのアルゴリズムに評価されつつ、求職者に「応募したい」と思わせる原稿を作成しましょう。
1. タイトルに最重要キーワードを盛り込む
求人タイトルは、検索結果で最初に表示される最も重要な部分です。職種名、勤務地、働き方、必須スキルなど、求職者が最も重視するキーワードを冒頭に含めましょう。
ただし、キーワードを詰め込みすぎると不自然になるため、簡潔かつ魅力的にまとめることを意識してください。
2. 職務内容・仕事内容にキーワードを自然に含める
求人メディアのアルゴリズムは、職務内容のテキストもキーワードの関連性判断に利用します。洗い出したキーワードを、自然な文章で、かつ複数回登場するように盛り込みましょう。
ただし、不自然なキーワードの羅列(キーワードスタッフィング)はスパムと判断され、検索順位が下がる可能性があります。あくまで求職者が読みやすい、具体的な内容を心がけてください。
3. 応募条件・待遇・福利厚生も具体的に
給与、休日、福利厚生なども求職者が検索で使う重要なキーワードです。これらを具体的に記載することで、検索対象になりやすくなります。
特に、求職者が魅力を感じるポイント(例:年間休日125日、住宅手当あり、資格取得支援制度)は、積極的に記載しましょう。
4. ターゲットに合わせたトーンと情報量
新卒・中途、経験者・未経験者、職種によって、求職者が求める情報は異なります。ターゲットに響くような言葉遣いを心がけ、必要な情報が過不足なく伝わるように調整しましょう。
例えば、未経験者向けであれば研修制度やサポート体制について手厚く説明する、といった工夫が有効です。
求職者が本当に求める「細かな条件」とは?―応募を増やす企業の制度見直し
求人票に記載する待遇や条件は、単なる数字や羅列ではありません。特に人材獲得競争が激化する現代において、求職者は企業が提供する「細かな条件」や「働きやすさ」を深く重視しています。これらの要素が求人メディアで適切に表現されていれば、応募数を大幅に増やすことができる可能性があります。
そして、これらの「細かな条件」に対応するためには、単に求人原稿を修正するだけでなく、会社としての制度や環境を根本から見直すことが、経営戦略として必要となる場合もあります。
求職者が求める「細かな条件」の例と、企業が検討すべきこと
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リモートワーク(在宅勤務)の可否と頻度
【対応の重要性】コロナ禍を経て、多くの求職者が柔軟な働き方を重視しています。リモートワークを許容するだけで、応募数は大幅に増加する可能性があります。一部だけでも可、週数日可、といった具体的な条件を明記しましょう。
【経営戦略として】オフィス維持費の削減、採用エリアの拡大、従業員エンゲージメント向上に繋がります。 - ●
有給休暇の取得しやすさ・消化率
【対応の重要性】年間休日数だけでなく、「実際に休みが取れるか」は求職者にとって大きな関心事です。有給消化率の実績や、取得しやすい雰囲気があることを具体的に伝えましょう。
【経営戦略として】従業員のワークライフバランス向上は、定着率の改善、生産性向上に寄与します。 - ●
残業時間の実態と残業代の支給状況
【対応の重要性】「残業なし」は人気キーワードですが、実態との乖離は早期離職に繋がります。平均残業時間を正直に伝え、固定残業代の場合は具体的な内訳を明記するなど、透明性を高めましょう。
【経営戦略として】健全な労働環境は、企業の信頼性向上、新たな優秀層の獲得に不可欠です。 - ●
ハラスメント防止策や相談窓口の有無
【対応の重要性】安心して働ける環境であることは、企業選びの重要な基準です。パワハラ・セクハラ防止の取り組みや相談窓口の設置など、具体的な対策に言及することで、企業への信頼感を高めます。
【経営戦略として】従業員が安心して働ける環境は、エンゲージメントや生産性の向上、離職率の低下に直結します。 - ●
スキルアップ・キャリアパス支援
【対応の重要性】特に若年層や成長意欲の高い求職者は、自身のキャリア形成を重視します。資格取得支援制度、研修制度、社内公募制度など、具体的な支援策を明示しましょう。
【経営戦略として】従業員のスキルアップは、企業の競争力強化に直結します。
これらの「細かな条件」は、求職者にとって「この会社は自分を大切にしてくれるか」「長く働けるか」を判断する重要な材料となります。自社の状況を調査し、改善できる点は改善し、それが求職者に伝わるよう求人原稿に適切に盛り込むことで、応募数の増加だけでなく、マッチ度の高い人材の獲得に繋がるでしょう。
結果を分析し、改善するフロー
求人原稿は一度作って終わりではありません。公開後のパフォーマンスを分析し、継続的に改善していくことが成功の鍵です。
1. データを確認する
Indeedアナリティクスや求人ボックス採用ボード、またはGoogleアナリティクス(自社サイトに連携している場合)で、以下の指標を定期的に確認しましょう。
- ● 表示回数(インプレッション数):求人がどれだけ検索結果に表示されたか。少ない場合はキーワードやタイトルを見直す必要があります。
- ● クリック数・クリック率(CTR):表示された中でどれだけクリックされたか。CTRが低い場合はタイトルや概要文が魅力的でない可能性があります。
- ● 応募数・応募率(CVR):クリックされた中でどれだけ応募に繋がったか。CVRが低い場合は、原稿の内容、応募条件、または応募フォームに課題があるかもしれません。
- ● 検索キーワードレポート:実際に求人が見られているキーワードと、その表示回数・クリック数を確認し、新たなキーワードのヒントや、対策すべきキーワードの優先順位をつけます。
2. 課題を特定し、仮説を立てる
データから見えてきた課題に対し、「なぜこの結果になったのか?」という仮説を立てます。
- 例1: 表示回数が少ない → 「設定キーワードが少ない、または求職者が検索しないキーワードになっているのでは?」
- 例2: クリック率が低い → 「タイトルが求職者の興味を引いていないのでは?」「競合と比較して魅力がない?」
- 例3: 応募率が低い → 「職務内容が分かりにくい?」「条件面が求職者の期待と合わない?」「応募プロセスが複雑?」
3. 原稿を改善し、再度公開する(ABテストも有効)
立てた仮説に基づき、求人原稿のキーワード、タイトル、職務内容、条件などを修正します。
- ● キーワードを追加・修正する
- ● タイトルをより魅力的に変更する
- ● 職務内容の表現を具体的にする
- ● 応募条件を見直す
可能であれば、ABテスト(複数の異なる原稿パターンを同時に掲載し、効果を比較する)を行うと、より効率的に最適な原稿を見つけ出すことができます。
4. 繰り返し、最適化を目指す
上記のプロセスを繰り返し、継続的に原稿を改善していくことで、より多くの求職者に求人を見つけてもらい、応募に繋げることができます。採用市場は常に変動するため、一度最適化したからといって放置せず、定期的な見直しが重要です。
まとめ:「見つけてもらう」ことで、採用は加速する
Indeed、求人ボックス、Googleしごと検索といった求人メディアを最大限に活用するためには、キーワード検索を意識した原稿作成と継続的な改善が不可欠です。
求職者がどんな言葉で仕事を探しているのかを理解し、その言葉を原稿に自然に盛り込むことで、あなたの求人はより多くの潜在的な応募者に見つけてもらえるようになります。
データに基づいた分析と改善のサイクルを回し、常に求人原稿を磨き上げることで、「見つけてもらう」採用を実現し、求める人材の獲得を加速させましょう。