Indeed SEO完全ガイド – 費用を抑え、求める人材に届ける求人票の作り方

「Indeedに求人を出しているのに、なぜか応募が来ない」「有料掲載しているのに、無関係な人からのクリックで費用がかさむ」 多くの企業がIndeedの集客力に期待を寄せる一方で、その複雑な仕組みに悩まされています。実は、IndeedにはGoogle検索と同様の「検索エンジン最適化(SEO)」の概念が存在します。

Indeedのアルゴリズムに評価される求人票を作成することで、広告費を抑えながら、本当に求める人材(ターゲット)に求人を届け、応募に繋げることが可能になります。この記事では、Indeed SEOの基本から、競合を分析して自らトレンドを発見する上級テクニックまで、明日から実践できるノウハウを徹底解説します。

Indeedの検索アルゴリズム – 何を「評価」しているのか?

Indeedの目標は「求職者にとって最も関連性の高い仕事を提示すること」です。そのために、主に2つの大きな柱で求人を評価しています。

  • キーワードとの関連性: 求職者が入力したキーワードと、求人票(特に「職種名」と「仕事内容」)の内容がどれだけ一致しているか。
  • 求職者の行動データ: 求人が表示された後、実際にクリックされたか(クリック率)、応募されたか(応募率)。多くの求職者が良い反応を示す求人は「質の高い求人」と判断され、さらに上位に表示されやすくなります。

つまり、単にキーワードを詰め込むだけでなく、求職者の興味を惹き、実際に行動(クリックや応募)を促すような「魅力的な求人票」であることが、Indeed SEOにおいて極めて重要です。

効果的なキーワードの入れ方 – ターゲットを射抜く戦略

キーワード選定は、ただ思いつく言葉を入れる作業ではありません。それは「どんな人にこの求人を見てほしいのか」というターゲット設定そのものです。目的は、不特定多数に表示されることではなく、「求めている人物像に合致する人」に発見してもらうことです。

シンプルすぎる求人票は、ターゲットが検索するであろう貴重なキーワードをみすみす逃している可能性があります。逆に、ターゲットとかけ離れたキーワードは、無駄なクリック(コスト)を生むノイズにしかなりません。常に「このキーワードは、ターゲットに響くか?」と自問自答することが重要です。

ターゲット:中小企業向けのIT営業経験者
✖ 悪い例
職種名 営業
解説 シンプルすぎて、「何の営業」か全く分かりません。「不動産営業」や「個人向け営業」を探している人にも表示され、無駄なクリックが増えます。また、「SaaS」や「ITソリューション」で検索する意欲の高いターゲットを取り逃がしてしまいます。
✔ 良い例
職種名 ITソリューションの法人営業(SaaS/勤怠管理システム)
解説 「ITソリューション」「法人営業」「SaaS」「勤怠管理システム」といった、ターゲットが検索する可能性が高いキーワードを具体的に含んでいます。これにより、ターゲットとの関連性が高まり、求人を見つけてもらいやすくなるだけでなく、ターゲットでない人からの不要なクリックを抑制できます。

陥りがちな罠 – キーワードの「入れすぎ」がコストを招く理由

「キーワードが重要なら、とにかくたくさん入れればいい」と考えるのは危険な間違いです。関連性の低いキーワードまで無闇に入れる「キーワードの入れすぎ(キーワードスタッフィング)」は、百害あって一利なしです。

【例】トラックドライバーを募集したいのに…

職種名に「トラックドライバー/配送/倉庫管理/軽作業/フォークリフト」と記載したとします。確かに多くのキーワードにヒットしますが、「倉庫管理」や「軽作業」の仕事を探している、ドライバーになる気がない人にも求人が表示されてしまいます。その人たちが興味本位でクリックすれば、応募には至らない無駄な広告コストだけが発生するのです。

ターゲットを明確にし、そのターゲットが使わないであろうキーワードは、勇気を持って削ぎ落とすことがコスト削減の第一歩です。

良い設定 vs 悪い設定 – ターゲットを絞り込むキーワード術

ここでは、「Webサイトのデザインと、簡単なコーディングもできる人材」を採用したいケースを例に、良い設定と悪い設定を見ていきましょう。

募集職種:Webデザイナー(コーディングも担当)
✖ 悪い設定(ターゲットが広すぎる)
職種名 Webデザイナー/コーダー/Web制作/HTML/CSS/JavaScript
解説 キーワードの羅列になっており、求職者にとって何の仕事か分かりにくいです。純粋なプログラマーや、デザインができないコーダーからのクリックも誘発し、無駄なコストと選考の手間が増えます。
✔ 良い設定(ターゲットが明確)
職種名 Webデザイナー(WordPressサイト制作担当)
解説 「WordPressサイト」という具体的な業務内容を職種名に入れることで、ターゲットを明確にしています。仕事内容で「デザインからHTML/CSSコーディング、WordPressへの実装まで」と補足すれば、必要なスキルセットを持つ人材に的確にアプローチでき、無駄なクリックを減らせます。

上級編 – 競合を分析し、自らSEOトレンドを発見する方法

Indeedのアルゴリズムは日々変化します。最新のトレンドを掴むためには、他社に教わるのではなく、自ら市場を分析するスキルが重要になります。以下のステップで、上位表示されている求人の「勝ちパターン」を探求しましょう。

  1. STEP 1
    シークレットモードで検索

    普段の閲覧履歴に影響されない、客観的な検索結果を得るため、ブラウザのシークレットモード(プライベートモード)を使います。

  2. STEP 2
    ターゲットキーワードで検索

    自社が採用したい人材が使いそうなキーワード(例:「営業 東京 未経験」「フロントエンドエンジニア リモート」など)で実際に検索し、上位1〜2ページ目に表示される求人をチェックします。

  3. STEP 3
    上位表示求人の共通点を探る

    上位表示されている求人票を複数見比べ、以下のような共通点を探します。
    ・職種名に給与や休日、特定のスキル名が入っているか?
    ・仕事内容の冒頭に、特にアピールしたいことが書かれているか?
    ・箇条書きはどのように使われているか?
    ・アピールしている福利厚生は何か?

  4. STEP 4
    スプレッドシートで記録・分析

    気づいた共通点をスプレッドシートなどに記録し、どの要素が特に頻繁に使われているかを「統計的」に分析します。個別の求人に惑わされず、全体の傾向を掴むことが重要です。

  5. STEP 5
    仮説を立て、自社の求人で試す

    「上位求人の8割は、職種名に【年間休日125日以上】と記載している。これを自社の求人にも反映させれば、クリック率が上がるのではないか?」といった仮説を立て、実際に求人票を修正して効果を測定(A/Bテスト)します。

まとめ – 継続的な改善こそがIndeed攻略の鍵

Indeed SEOは、一度設定すれば終わりという魔法の杖ではありません。むしろ、それは採用担当者が「求人広告の出稿担当」から「採用マーケター」へと進化するための思考法そのものです。市場(求職者)が何を求め、競合が何を提示しているかを常に観測し、自社の「製品」である求人票を最適化し続ける。このマーケティング視点こそが、Indeed攻略の本質と言えます。

今日、競合の求人票を見て気づいた一つの改善点を、明日あなたの求人票に反映させてみてください。その小さな一歩が、数週間後にはクリック率や応募単価の大きな改善に繋がっているはずです。Indeedの攻略に近道はなく、地道な分析と改善のサイクルを回し続けることだけが、費用対効果を最大化し、本当に求める人材との出会いを実現する唯一の道なのです。

Indeed攻略のサイクル
調査 → 仮説 → 実行 → 分析 → 改善

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