Indeed PLUSの採用戦略 企業はどう活用すべきか?

「Indeed PLUSって結局何?」「リクナビNEXTにも掲載されるって本当?」
「採用コストは上がるの?それとも下がるの?」――
求人広告市場の新たな潮流として登場したIndeed PLUSは、多くの採用担当者の関心を集めています。Indeedとリクルートの連携によるこの新サービスは、採用活動に大きな変革をもたらす可能性を秘めている一方で、その実態や企業にとっての真のメリット・デメリットについては、まだ不明瞭な点も多いかもしれません。

本記事では、Indeed PLUSの仕組みを深掘りし、採用したい企業にとって具体的にどんなメリットがあるのか、本当にそれがメリットと言えるのか、あるいはリクルートにだけメリットがあるのではないか、といった疑問に答えます。Indeed PLUSの良い点、悪い点を清濁併せのんで分析し、採用を強化したい企業がどのように利用するのが最適かを徹底解説します。

Indeed PLUSとは?:新サービス登場の背景

Indeed PLUSは、世界最大の求人検索エンジンであるIndeedと、国内最大級の求人サービスを展開するリクルートが連携し、2024年1月に本格スタートした求人掲載サービスです。その最大の特徴は、Indeedに求人広告を掲載するだけで、リクルートが提携する複数の求人サイトにも自動的に転載される点にあります。

このサービスが生まれた背景には、日本の採用市場における複雑さと、企業の採用活動の効率化ニーズがあります。これまで企業は、複数の求人媒体にそれぞれ原稿を作成・掲載し、運用を行う必要がありました。Indeed PLUSは、この手間を削減し、より広範な求職者層へ一度にリーチできることを目指しています。

Indeed PLUSの仕組み:求人掲載から露出までの流れ

Indeed PLUSの基本的な仕組みは非常にシンプルです。従来のIndeedの求人掲載フローに、複数の連携先媒体への自動転載機能が加わったと考えると分かりやすいでしょう。

1. 企業がIndeedに求人掲載
(直接投稿、またはATS連携経由)
2. Indeed PLUSが求人情報を最適化
(各媒体の掲載基準に合わせて情報を調整)
3. 連携先媒体へ自動転載・掲載
(リクナビNEXT、タウンワーク、フロム・エー ナビなど)
4. 各媒体から求職者が応募
(求人サイトの特性に応じたユーザー層にリーチ)
5. Indeedで一元管理・効果測定
(応募状況や費用がIndeed上で確認可能)

この仕組みにより、企業はIndeedに一本化して運用することで、複数の求人媒体に個別に掲載する手間と時間を削減できるとされています。

Indeed PLUSを活用するメリット

Indeed PLUSの導入により、企業は以下のようなメリットを享受できると期待されています。

採用担当者にとってのメリット

リーチの劇的な拡大
Indeedのユーザーに加え、リクルートが誇るリクナビNEXT(中途)、タウンワーク(アルバイト・パート)、フロム・エー ナビ(アルバイト・パート)など、国内最大級の求人サイトのユーザー層にも自動でリーチできるようになります。これにより、これまで接点がなかった幅広い求職者層にアプローチが可能となります。
運用の手間と時間削減
複数の求人媒体に個別に掲載・運用する手間が省け、Indeed上での一元管理が可能になります。これにより、採用担当者の工数削減に大きく貢献し、面接や候補者フォローといったコア業務に集中できる時間が増えます。
データの一元管理と分析
各媒体からの応募状況や費用がIndeedの管理画面に統合されるため、媒体ごとの効果検証や全体的な費用対効果の把握が容易になります。PDCAサイクルを回しやすくなります。
ターゲット層への最適化
IndeedのAIが、求職者の検索行動や連携先媒体の特性を考慮し、最もマッチする求職者へ自動で求人を表示します。これにより、効率的なターゲティングが期待できます。

Indeed PLUSのデメリットと懸念点

Indeed PLUSは便利なサービスですが、メリットばかりではありません。企業が留意すべきデメリットや懸念点も存在します。

企業が向き合うべき懸念点

コスト管理の複雑化
複数の媒体に自動転載されるため、どの媒体からの応募にいくら費用がかかったのか、詳細な内訳が見えにくくなる可能性があります。「総額のコスト」は把握できても、「媒体ごとの費用対効果」の検証が難しくなる懸念があります。
運用のブラックボックス化
自動最適化されるがゆえに、企業側が細かなターゲティングや予算配分、原稿の表示順位などを直接コントロールしにくくなる可能性があります。特に独自の運用ノウハウを持つ企業にとっては、このコントロールの喪失がデメリットとなる場合があります。
応募の質への影響
リーチが拡大する一方で、必ずしも自社が求めるターゲット層からの応募ばかりが増えるとは限りません。応募数が増えても、応募の質が低下し、採用担当者のスクリーニング工数が増加する可能性があります。
リクルートへの依存度
Indeed PLUSを利用することで、リクルートが提供するエコシステムへの依存度が高まります。これにより、将来的な料金体系の変更やサービス内容の変更が、企業の採用活動に直接影響を及ぼす可能性があります。

誰が得をする?Indeed PLUSの真のメリットを考察

Indeed PLUSは、採用したい企業にとって本当にメリットが大きいのか、それともリクルート側にだけメリットがあるのか。この問いは、多くの採用担当者が抱く疑問でしょう。

Indeed PLUSのメリット:企業 vs リクルート
メリットの種類 企業側のメリット リクルート側のメリット
採用効率・リーチ
  • 工数削減単一媒体運用で複数サイトに掲載。
  • リーチ拡大これまでリーチできなかった層へのアプローチが可能に。
  • 顧客接点の増加Indeedを利用しない企業も取り込める可能性。
  • 他媒体への送客力強化自社媒体へのトラフィック増加。
データ・運用
  • データ一元管理Indeed上で全体の成果を確認。
  • 最適化の恩恵IndeedのAIによる自動最適化。
  • 膨大なデータ収集各媒体のユーザーデータや応募データを統合分析。
  • サービス連携強化プラットフォームとしての優位性確立。
費用面
  • 個別の媒体費削減複数媒体への個別掲載費が不要。
  • 総コスト増の可能性応募単価や採用単価が意図せず高騰することも。
  • 広告費の総量増加Indeed経由でリクルート媒体への費用が流れる。
  • 市場シェアの拡大競合からの予算獲得。

確かにIndeed PLUSは、リクルートグループ全体の収益最大化を目指す戦略の一環と言えます。しかし、企業側も「工数削減」「リーチ拡大」「データ一元管理」といった明確なメリットを享受できる可能性があります。特に、これまでリクルート系の求人サイトに個別に掲載する予算や工数がなかった企業にとっては、新たな求職者層へのアクセス手段となり得ます。

重要なのは、Indeed PLUSが提供する価値を理解しつつ、デメリットや懸念点にも目を向け、自社の採用戦略にどのように組み込むかを冷静に判断することです。

清濁併せのむ!Indeed PLUSの最適な活用戦略

Indeed PLUSを最大限に活用し、採用を成功させるためには、その特性を理解した上で、戦略的に運用することが不可欠です。

実践的活用ポイント

1. ターゲットと目的の明確化
Indeed PLUSがリーチする広範な求職者層の中から、自社が本当に採用したい人材(ペルソナ)を明確に定義しましょう。これにより、無駄なクリックや応募を減らし、費用対効果を高めます。
2. 求人原稿の徹底的な最適化
IndeedのSEO(検索エンジン最適化)を意識しつつ、リクルート系の媒体に転載されても魅力が伝わるよう、職種名、勤務地、仕事内容、必須スキル、待遇などを具体的に記載しましょう。複数の媒体で表示されることを意識し、より汎用性と訴求力のある表現が求められます。
3. 効果測定と継続的な改善
Indeed PLUSの管理画面で、応募数、応募単価、採用単価などを定期的に確認しましょう。媒体ごとの詳細なデータが見えにくい場合でも、全体としての費用対効果を常に検証し、原稿の修正や予算配分の調整を行うPDCAサイクルが不可欠です。
4. 他の採用手法との組み合わせ
Indeed PLUSは強力なツールですが、万能ではありません。自社採用サイトの強化、リファラル採用、SNS採用など、他の採用手法と組み合わせることで、特定のターゲット層へのアプローチを強化し、採用活動全体の安定性を高めることができます。
5. 代理店との密な連携(利用の場合)
Indeed PLUSの運用を代理店に依頼する場合、レポート内容の透明性を求め、媒体ごとの効果や最適化のロジックについて積極的に質問しましょう。代理店の専門知識を学び、自社でもノウハウを蓄積する意識が重要です。

Indeed PLUSは、採用活動の効率化とリーチ拡大に貢献する新たな選択肢です。その特性を深く理解し、自社の採用戦略に「清濁併せのんで」賢く組み込むことで、人手不足時代における採用成功の確率を高めることができるでしょう。

まとめ:Indeed PLUSで採用の未来を切り拓く

Indeed PLUSは、Indeedとリクルートの連携により、企業に求人掲載の効率化と広範なリーチをもたらす画期的なサービスです。そのメリットは、採用担当者の工数削減やデータの一元管理に繋がり、これまで手が届かなかった求職者層へのアプローチを可能にします。

一方で、コスト管理の複雑化や運用コントロールの難しさ、リクルートへの依存度増加といった懸念点も存在します。しかし、これらのデメリットを理解し、自社の採用戦略を明確にし、求人原稿の最適化、効果測定の徹底、そして必要に応じて代理店との密な連携を図ることで、Indeed PLUSの真価を発揮させることができます。

Indeed PLUSは、単なる求人媒体ではなく、現代の採用市場を勝ち抜くための戦略的なツールです。その「清濁」を理解し、賢く活用することで、貴社の採用活動は新たなフェーズへと進むでしょう。

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