Indeedの有料掲載は、本当に効果があるのか? データで見る、無料・有料広告の賢い使い分け術

「Indeedの有料掲載(スポンサー求人)を勧められるが、本当に費用対効果があるのか疑問だ」「無料掲載だけでは、やはり限界なのだろうか」――多くの採用担当者が、Indeedの有料・無料の使い分けに悩んでいます。
本記事では、Indeedが公式に発表しているデータや各種調査結果を基に、有料掲載と無料掲載のパフォーマンスの違いを客観的に分析。企業の状況や採用職種に応じた、最適な使い分け戦略を具体的に解説します。

目次

① データで見る、有料掲載と無料掲載の「圧倒的な差」

結論から言えば、有料掲載と無料掲載には、求職者への露出において圧倒的な差が生まれます。Indeedが公式に発表しているデータによると、有料のスポンサー求人は、無料掲載の求人に比べて最大で5倍多くのクリックを集めるとされています。

この差が生まれる最大の理由は、求人情報の「鮮度」と「表示順位」にあります。Indeedの検索結果は、基本的に新しく投稿された求人が上位に表示される仕組みです。そのため、無料掲載の求人は、時間が経つにつれて新たな求人に押し出され、どんどん下位に埋もれていきます

下のグラフは、掲載後の時間の経過による求人のクリック数の変化をモデル化したものです。無料掲載の求人のクリックがすぐに減少していくのに対し、有料掲載は広告費を投入している限り、安定して求職者の目に触れる位置に表示され続けることがわかります。

つまり、「今すぐ、多くの人に見てもらいたい」のであれば、有料掲載が圧倒的に有利なのです。

② コストパフォーマンスの“本当の”意味とは?

「無料なのだから、無料掲載のほうがコストパフォーマンスは良いはずだ」と考えるのは早計です。採用におけるコストパフォーマンスは、表面的な広告費だけでなく、「時間」と「機会損失」という観点から総合的に判断する必要があります。

無料掲載のコストパフォーマンス

直接的な広告費は0円です。そのため、もし運良く応募があり採用に繋がれば、費用対効果は無限大と言えます。しかし、表示順位が不安定なため、応募が来るまでに数週間、数ヶ月かかることも珍しくありません。その間、人材がいないことによる生産性の低下や、担当者が求人票の改善にかける人件費(時間コスト)が発生します。いつ応募が来るか分からない、という不確実性が最大のリスクです。

有料掲載のコストパフォーマンス

クリック課金による広告費が発生するため、直接的なコストはかかります。しかし、「時間」と「確実性」を買っていると考えることができます。短期間で多くの求職者に求人を届け、応募の確度を高めることができます。採用までの期間が短いほど、人材不足による機会損失を最小限に抑えることが可能です。「コスト」ではなく、未来の利益を生むための「投資」と捉えることができます。

③ 【実践編】採用戦略別・有料と無料の使い分け判断術

ケース1:採用の緊急性が高い、または急な欠員が出た場合

【結論:有料掲載を強く推奨】

スピードが最優先されるこのケースでは、迷わず有料掲載を選択すべきです。無料掲載で応募を待つ時間的余裕はありません。期間と予算を定め、集中的に広告を投下して、短期間で母集団を形成することを目指しましょう。

ケース2:ITエンジニアや施工管理、ドライバーなど、超・採用難職種の場合

【結論:有料掲載がほぼ必須】

これらの職種は、有効求人倍率が極めて高く、常に人材の奪い合いとなっています。競合他社の多くが有料掲載を利用しているため、無料掲載だけでは検索結果の上位に表示されることすら困難です。Indeedで戦うための「最低条件」として、一定の広告予算を確保する必要があります。

ケース3:常に一定数の応募が欲しい、通年採用の職種の場合(販売職、軽作業など)

【結論:無料掲載をベースに、有料掲載を組み合わせる】

まずは、求人票の内容を徹底的に磨き込み、無料掲載での応募獲得を目指す「採用の基礎体力」をつけましょう。その上で、応募が少なくなる時期や、繁忙期前の増員など、必要に応じて有料掲載を「ブースター」として活用するハイブリッド戦略が最も費用対効果が高くなります。

ケース4:採用予算が極めて限られている場合

【結論:無料掲載の最適化に全力を注ぐ】

予算がない場合、選択肢は無料掲載しかありません。しかし、ただ掲載して待つだけでは成果は出ません。「職種名の工夫」「具体的な仕事内容の記述」「待遇の透明化」など、過去の記事で解説した求人票の魅力を最大限に高める努力に、時間と知恵を投資することが不可欠です。

④ 結論:採用チャネルの「ポートフォリオ」を組む

有料掲載と無料掲載は、どちらか一方を選ぶ「二者択一」の関係ではありません。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合わせて組み合わせる「ポートフォリオ」の視点が重要です。

無料掲載は、企業の採用活動における「基礎体力」です。日々の地道な情報発信と求人票の改善で、コストをかけずに応募を獲得できる地盤を固める。

有料掲載は、目標達成のための「戦略的投資」です。緊急時や勝負どころで、費用を投下してでも、時間と確実性を買いに行く。

この両輪を賢く回すことが、これからの採用市場で勝ち続けるための必須条件となります。

目次