なぜウチの求人はIndeedに掲載されない? 審査落ちする“NG求人”の条件と対策【完全版】

「自社の採用サイトに求人を載せたのに、いつまで経ってもIndeedに表示されない…」「昨日まで表示されていた求人が、突然消えてしまった…」その原因は、Indeed独自の「品質審査」にあるかもしれません。
本記事では、Indeedの公式な掲載基準に基づき、どのような求人が審査落ちの対象となるのか、その具体的な条件とNG表現を徹底解説。意図せず求職者の信頼を損なうことがないよう、健全な求人情報を作成するための実践的な対策をまとめます。

① 大前提:Indeedには厳格な「品質審査」が存在する

まず最も重要なのは、Indeedは「どんな求人でも掲載するわけではない」という事実です。Indeedは、求職者にとって安全で、有益な情報を提供することを最優先事項としており、その理念を「求職者ファースト」と掲げています。

この理念を実現するため、IndeedはAIと専門チームによる24時間体制の「品質審査」を行っています。この審査の目的は、求職者に不利益をもたらす可能性のある求人や、質の低い求人を排除し、検索結果の信頼性を保つことです。したがって、企業の意図に関わらず、ガイドラインに違反すると判断された求人は、予告なく非表示または掲載不可となることがあります。

② 【完全版】Indeed審査落ち大全―9つのチェックリスト

ここでは、審査落ちの典型的なパターンを9つに分類して、具体例と共に詳しく解説します。自社の求人が当てはまっていないか、厳しくチェックしてみてください。

1. 差別的な表現・属性の限定

男女雇用機会均等法などの法令遵守の観点から、性別・年齢・国籍など、本人に責任のない事項で応募を制限する、またはそれを想起させる表現は一切認められません。

NG審査落ちする表現例

「主婦歓迎」「20代の女性スタッフが中心に活躍中!」「体力に自信のある男性募集」「日本人の方に限る」

OK改善例

「未経験者歓迎。子育て中の方もシフト調整可能です」「若手からベテランまで幅広い世代が活躍中」「重量物(20kg程度)の運搬作業を伴います」「日本語での円滑なコミュニケーションが可能な方」

【解説】「主婦歓迎」は、性別役割分業を固定化する表現と見なされます。「歓迎したい理由」に立ち返り、「ご家庭の事情に合わせてシフト調整可能」のように、具体的な制度や事実を記述するのが正しいアプローチです。

2. 職種名が不適切・求職者を欺く

職種名は、仕事内容を正確に表す必要があります。クリックを誘うための無関係なキーワードや、過度な記号の使用はスパムと見なされます。

NG審査落ちする表現例

「【急募!】月給35万以上可★未経験OKの営業」「(正社員)誰でも簡単!オフィスワーク」

OK改善例

「法人向けITソリューションの提案営業(未経験歓迎)」「一般事務(データ入力・電話応対)」

【解説】職種名に給与や記号を入れる行為は、求職者が求人を公平に比較するのを妨げます。「誰でも簡単」といった主観的で誇張された表現も、仕事内容を誤解させるため避けるべきです。

3. 仕事内容が曖昧・実態と異なる

「営業サポート」や「アシスタント業務全般」のような曖昧な記述では、求職者は何をするのか全くイメージできません。

NG審査落ちする表現例

営業担当のサポート業務をお任せします。やりがいのある仕事です。

OK改善例

営業担当に代わり、専用システムでの見積書作成、提案資料の修正(PowerPoint使用)、顧客へのアポイント調整(電話・メール)などを行います。

【解説】求職者は「入社後に何をさせられるか分からない」という不安を抱きます。具体的な業務内容を箇条書きなどで列挙することで、透明性が高まり、ミスマッチも防げます。

4. 雇用形態が不明確、または偽っている

正社員、契約社員、アルバイト・パート、業務委託といった雇用形態は、明確に区別して記載する必要があります。特に、業務委託契約を正社員であるかのように見せかけることは、重大な違反と見なされます。

5. 求職者に金銭的・物理的負担を強いる

応募または就業にあたり、求職者に何らかの費用負担を求める求人は、原則として掲載できません。

NG審査落ちする表現例

「登録料として5,000円」「業務で使うPCはご自身でご用意ください」「採用前に有料研修(3万円)の受講が必須です」

【解説】研修費用や業務に必要な備品は、すべて企業側が負担すべきコストです。求職者に費用を転嫁するビジネスモデルは、求職者の不利益に直結するため、固く禁じられています。

6. ネットワークビジネスやフランチャイズ等の勧誘

純粋な雇用関係ではなく、商品の購入や加盟金の支払いを前提としたビジネスへの勧誘を目的とする求人は掲載できません。

7. 重複掲載やスパム行為

同一の求人を、勤務地や職種名を少しだけ変えて大量に投稿する行為はスパムと見なされます。求職者にとっては、同じ求人ばかりが検索結果に表示され、著しく利便性を損なうためです。

8. クリック誘導や個人情報の不適切な収集

求人情報と無関係なサイトへ誘導したり、応募とは関係ない目的で個人情報を収集したりする求人はNGです。「続きはWebで」のように、詳細情報を別のページに記載してクリックを強要するのも、品質が低いと判断されることがあります。

9. 法律・公序良俗に反する内容

法令順守(コンプライアンス)は、企業にとって最低限の社会的責務です。求人票の内容が、労働基準法や最低賃金法などの各種法令に違反している場合、即座に掲載停止の対象となります。

NG法令違反の可能性がある表現例

  • 最低賃金を下回る給与設定:時給換算した際に、事業所のある都道府県の最低賃金を下回っている。
  • 固定残業代の内訳が不明確:「月給25万円(みなし残業代含む)」のように、残業時間と金額の内訳が明記されていない。(労働基準法違反の可能性)
  • 試用期間中の不当な条件:「試用期間中の給与は最低賃金の90%」など、法的な根拠なく本採用時と異なる不利な条件を課している。
  • 求人情報と実際の労働条件の相違:求人票に「土日祝休み」と記載があったのに、実際は隔週休みだったなど、職業安定法に抵触する可能性がある。

【解説】これらの表記は、単に審査に落ちるだけでなく、企業の信頼を大きく損ない、「ブラック企業」という評判に繋がる極めて危険な行為です。法務担当者や社会保険労務士など、専門家によるリーガルチェックを徹底することが不可欠です。

⑥ 審査をクリアし、信頼される求人を作成するための対策

Indeedの審査基準は、裏を返せば「求職者から信頼される求人とは何か」を示唆するガイドラインでもあります。以下のポイントを意識して、求人情報を見直しましょう。

  • 事実に基づき、具体的に記述する 「アットホーム」ではなく「月1回のランチ会(費用は会社負担)」、「成長できる」ではなく「資格取得支援制度(年間5万円まで補助)」のように、抽象的な言葉を、具体的な事実や制度に置き換えて説明しましょう。
  • 応募資格は「Must(必須)/Want(歓迎)」で切り分ける 「コミュニケーション能力が高い方」のような曖昧な表現は避け、「【必須】法人営業経験3年以上」「【歓迎】IT業界での実務経験」のように、必須要件と歓迎要件を明確に分けて記述することで、求める人物像が正確に伝わります。
  • 本質的な要件を記述する 「体力に自信のある方」ではなく「1日平均20件程度の配送で、1ケース10kgの荷物を扱います」のように、性別や年齢を限定せず、業務に必要な能力や条件を客観的な事実として記載しましょう。
  • Indeedの公式ガイドラインを定期的に確認する Indeedの掲載基準は、市場の変化に合わせて随時更新されます。「以前はOKだった表現が、今はNGになる」こともあり得ます。公式サイトで最新のガイドラインに目を通す習慣をつけましょう。
Indeedの審査をクリアすることは、目的ではありません。それは、求職者に対して誠実で、透明性の高い情報を提供するという、採用活動の基本を守るための第一歩です。
求職者から「信頼できる」と思われる求人を作成することが、結果的に審査通過率を高め、質の高い応募に繋がるのです。
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