なぜ、ウチの求人はIndeedで応募が来ないのか?成果を出す企業と出せない企業の“決定的な差”

「Indeedに掲載さえすれば、応募が殺到するはずだ」― そう期待して求人を出したものの、全く応募が来ずに頭を抱える企業は少なくありません。月間4,000万人以上が訪れる巨大プラットフォームも、ただ使うだけでは成果は出ません。
そこは、数百万件の求人がひしめく熾烈な「競争の場」です。本記事では、Indeedで応募を集められない求人の共通点を分析し、成果を出す企業が実践している具体的なテクニックを徹底比較します。

① 大前提:Indeedは「競争の場」であるという現実

まず認識すべきは、Indeedは魔法の杖ではないということです。あなたの会社の求人が掲載されているその隣には、無数の競合他社の求人が並んでいます。求職者は、スマートフォン一つで、それらの求人を瞬時に比較検討しています。

この市場で勝ち抜くには、2つの厳しい競争を乗り越えなければなりません。

  • 第1の競争:上位表示争い
    求職者が「東京 営業」と検索した際に表示される、膨大な検索結果の中から、自社の求人を見つけてもらうための戦いです。ここで見つけてもらえなければ、存在しないのと同じです。
  • 第2の競争:比較検討
    クリックしてもらった後、求職者は必ず他社の求人内容と、給与・休日・仕事内容・勤務地などをシビアに比較します。ここで「他社より魅力的だ」と思ってもらえなければ、応募には繋がりません。

この2つの競争を意識せず、ただ求人を掲載しているだけでは、応募が集まらないのは当然の結果と言えるのです。

② 【比較】応募が集まらない求人の4つの共通点

成果の出ない求人票には、驚くほど共通した「負けパターン」が存在します。自社の求人が当てはまっていないか、チェックしてみてください。

1. 職種名が“社内用語”で、漠然としている

求職者は、自分が使っている言葉で仕事を検索します。「総合職」や「営業サポート」のような曖昧な言葉では、具体的な仕事を探している人の検索にヒットしません。

NG悪い職種名

【急募】ルート営業スタッフ

2. 仕事内容が“精神論”ばかりで、具体性がない

「やりがいのある仕事」「風通しの良い職場」「アットホームな雰囲気」といった抽象的な言葉は、もはや求職者の心に響きません。むしろ、「他にアピールすることがないのでは?」と不信感を与えかねません。

NG悪い仕事内容

お客様から「ありがとう」と言われる、非常にやりがいのある仕事です。未経験でもやる気があれば大丈夫!一緒に会社を盛り上げてくれる仲間を募集します。

3. 労働条件が“不明確”で、不信感を招く

求職者が最も知りたい給与や休日について、「応相談」「当社規定による」といった表記は、応募をためらわせる最大の要因です。「何か隠しているのではないか」という不信感に直結します。

NG悪い労働条件

給与:月給25万円~(経験・能力を考慮)
休日:週休2日制(シフトによる)

4. 「有料広告」に頼りきりで、求人票の改善を怠る

応募が来ない原因を求人票の魅力不足と考えず、「露出が足りないからだ」と安易に有料広告費を投下してしまうケースです。これは、中身の伴わない商品を、お金を払って無理やり見せているのと同じです。一時的にクリックは増えても、中身が魅力的でなければ応募には繋がらず、広告費だけが無駄に消えていきます。

③ 【比較】応募が殺到する求人が徹底していること

一方で、厳しい市場でも着実に応募を集める企業は、求職者の心理を深く理解し、求人票の細部にまでこだわっています。

1. 求職者目線の「検索キーワード」を職種名に盛り込む

「どんな言葉で検索するか?」を徹底的に考え、職種名に具体的なキーワードを散りばめています。

OK良い職種名

【既存顧客中心】食品メーカー向けルート営業(土日祝休み/年間休日125日)

2. “一日の流れ”が見えるほど、仕事内容を具体的に記述

求職者が「自分が入社したら、どんな一日を過ごすのか」を鮮明にイメージできるよう、業務内容を具体的に記述しています。

OK良い仕事内容

担当エリアのスーパーや小売店(1日15件程度)を社用車で訪問し、自社ブランドのお菓子の陳列提案や新商品の案内を行います。PCでの報告書作成は1日1時間程度です。

3. 給与・休日・福利厚生を“数値”で正直に開示する

給与は具体的なレンジで、休日は年間の総数で提示するなど、「数字」で客観的な事実を示すことで、求職者の信頼を勝ち取っています。

OK良い労働条件

給与:月給28万円~35万円(想定年収420万円~)
休日:完全週休2日制(土日祝休み)/年間休日125日

4. 無料掲載を磨き上げ、有料広告を“ブースター”として活用

成果を出す企業は、まず無料掲載で最大限の成果を出せるよう、求人票を徹底的に磨き上げます。その上で、特に急募の求人や、採用が難しい職種に対してのみ、期間を定めて有料広告を「ブースター」として戦略的に活用し、費用対効果を最大化しています。

④ 結論:Indeedの攻略は「採用活動そのもの」の攻略である

ここまで見てきたように、Indeedで成果を出すために必要なことは、小手先のテクニックではありません。

「どんな人材に、何を魅力として伝え、どんな条件で仲間になってもらうか」

という、採用活動の本質そのものを突き詰め、それを求人票という形に誠実に落とし込む作業に他なりません。Indeedは、企業の採用に対する姿勢を映し出す「鏡」です。求職者は、その鏡に映った姿を見て、応募するかどうかを決めています。

この「鏡」に映る自社の姿は、単に給与が高いか安いかといった単純な話ではありません。現代の求職者は、給与、年間休日、残業時間といった基本的な待遇はもちろんのこと、以下のような多角的な視点から企業を評価しています。

  • 給与・報酬: 市場相場に見合った、あるいはそれ以上の魅力的な給与体系か?
  • 休日・休暇: 完全週休二日制、年間休日数、有給取得のしやすさなど、プライベートを充実させられる環境か?
  • 福利厚生・手当: 住宅手当、家族手当、資格取得支援、社員旅行、健康診断など、社員を大切にする制度が充実しているか?
  • 勤務地・アクセス: 自宅からの通勤時間、最寄駅からのアクセス、交通費支給の有無など、通勤の負担はどうか?
  • 企業文化・雰囲気: 風通しの良さ、多様性への理解、チームワーク、社員同士の人間関係など、安心して働ける環境か?
  • 仕事内容の希少性・専門性: その仕事を通じて得られるスキルや経験は、他社では得られない価値があるか?市場価値を高められる専門性があるか?
  • ワークライフバランス: リモートワークの有無、フレックスタイム制度、残業の少なさなど、柔軟な働き方ができるか?
  • 成長機会: キャリアパスの明確さ、研修制度、資格取得支援、メンター制度など、自身の成長をサポートする環境が整っているか?
  • 社会貢献性・ビジョン: 会社の事業が社会にどのような価値を提供しているか?自身の仕事が社会に貢献している実感を持てるか?

これらの「働きたいと思えるポイント」が一つでも光っていなければ、いくらIndeedの有料広告に多額の予算を投じても、結果は伴いません。求職者は、無数の選択肢の中から「自分にとって最も魅力的で、長く安心して働ける場所」を常に探し求めています。単にお金をかければ人が集まる時代は終焉を迎えました。これからは、自社の真の魅力を掘り起こし、それを誠実かつ具体的に伝える努力こそが、採用成功の鍵を握るのです。あなたの会社には、求職者が「ここで働きたい!」と強く思える「何か」があるでしょうか?その問いに真摯に向き合うことこそが、Indeed攻略の、そして採用活動成功の第一歩となります。

Indeedで応募が集まらないのは、Indeedが悪いのではありません。
それは、自社の採用活動そのものに、見直すべき点があるというサインなのです。
求人票を改善するとは、会社のあり方を見直すこと。その視点こそが、この厳しい採用市場を勝ち抜くための唯一の鍵となります。
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