「Indeedに有料広告を出しているのに、クリックはされても応募が来ない…」多くの採用担当者が、そんなジレンマに陥っています。現代の求職者は、Indeedで求人を見つけた後、応募ボタンを押す前に必ず「第二の選考」を行っています。
本記事では、大手人材会社の調査データを基に、求職者が応募を最終決定する上で極めて重要な「Googleマップ」「企業の口コミ」「自社採用サイト」という3つの“Indeed外”要素を徹底解説します。
① なぜ応募に至らない?求職者の「第二の選考」の実態
Indeedは、あくまで求職者が貴社を「発見」する場所です。しかし、発見から応募までの間には、多くの求職者が行う「偵察行動」が存在します。株式会社マイナビの「転職動向調査2025年版」によれば、転職活動者の8割以上が、企業の採用サイトや口コミサイトなど、複数の情報源を参考に応募先を決定していると回答しています。
つまり、求職者の行動は以下のようになっています。
- Indeedで魅力的な求人を発見する
- 応募ボタンを押す前に、会社名をGoogleで検索する
- Googleマップ、口コミサイト、企業の公式サイトなどをチェックする(=第二の選考)
- 得られた情報に納得できれば、初めて応募ボタンを押す
この「第二の選考」の段階でネガティブな情報に触れたり、知りたい情報が得られなかったりすると、求職者はためらいなく離脱してしまいます。Indeed上の求人をいくら改善しても、このIndeed外の対策ができていなければ、応募というゴールには至らないのです。
② 要素①:Googleマップ ―「会社の顔」と「通勤の現実」
求職者が会社名を検索して、最初に目にする情報の一つがGoogleマップの検索結果(ビジネスプロフィール)です。これは、インターネット上の「会社の玄関」とも言える重要な情報源です。
求職者はここで、オフィスの外観写真を見て「清潔感があるか」、周辺の様子を見て「ランチや買い物に便利か」といった、求人票には書かれていないリアルな職場環境をチェックします。さらに、自宅からの通勤ルートと所要時間をシミュレーションし、「本当に無理なく通えるか」を判断します。
オフィスの外観が古びていたり、情報が全く更新されていなかったりすると、それだけで「この会社は大丈夫だろうか」という不安を与えかねません。Googleビジネスプロフィールを整備し、魅力的で正確な情報を発信することは、もはや必須の採用広報活動です。
③ 要素②:企業の口コミ ― 信頼性を揺るがす「第三者の声」
現代の採用活動において、企業が最もコントロールできない、しかし影響力が絶大なのが、OpenWorkやLighthouse(旧カイシャの評判)といった「企業の口コミサイト」です。
株式会社ディスコの「キャリタスリサーチ」によると、就職活動を行う学生の6割以上が、企業の口コミ情報を参考にしていると回答しています。さらに、別の調査では、約9割の求職者が「ネガティブな口コミを見て応募をためらった、あるいはやめた経験がある」と答えています。
たとえ求人票に「風通しの良い職場です」と書いてあっても、口コミサイトに「トップダウンで意見が言えない」といった書き込みがあれば、求職者は第三者のリアルな声を信じます。ネガティブな口コミを放置することは、採用活動における致命傷になりかねないのです。
④ 要素③:採用サイト ―「本当の姿」を伝える場所
口コミサイトでネガティブな情報に触れた後でも、求職者が次に訪れるのが、企業の公式採用サイトです。彼らはここで「口コミは本当だろうか?」という答え合わせをしようとします。
求職者が採用サイトに求めているのは、求人票に書ききれない、より詳細でリアルな情報です。例えば、
- 実際に働く社員のインタビューや一日のスケジュール
- 具体的なプロジェクト事例や仕事のやりがい
- 社長や役員が自らの言葉で語る、会社のビジョンや価値観
- オフィス環境や福利厚生施設の写真
これらのコンテンツを通じて、「この会社で働く自分の姿」を具体的にイメージできれば、口コミサイトのネガティブな情報を乗り越え、応募への意欲を高めることができます。情報が古かったり、当たり障りのない内容しか書かれていないサイトは、そのチャンスを逃していると言えるでしょう。
⑤ “Indeed外”で信頼を勝ち取るためのアクションプラン
Indeedでの成果を最大化するために、今すぐ取り組むべき「Indeed外」の施策をまとめました。
- ✓Googleビジネスプロフィールを最適化する
まずは自社の情報を検索し、オーナー確認を行いましょう。オフィスの綺麗な外観写真や、事業内容、営業時間を正確に登録し、求職者向けのメッセージを投稿するのも有効です。 - ✓口コミサイトに真摯に対応する
ネガティブな口コミも無視せず、企業として公式にコメントを返信しましょう。事実誤認を訂正したり、改善点を真摯に受け止める姿勢を見せたりすることで、誠実な企業であるという印象を与えることができます。 - ✓「社員の顔が見える」採用サイトを構築する
テンプレート的な美辞麗句ではなく、社員のリアルな声や、具体的な仕事風景を伝えるコンテンツを充実させましょう。動画や多くの写真を使うことも、職場の雰囲気を伝える上で非常に効果的です。
Indeedで応募を集めるための戦いは、Indeedの外から始まっています。
求職者が応募ボタンを押すまでの「心の旅」を想像し、彼らが訪れるすべての場所で一貫した、誠実で魅力的なメッセージを発信すること。それこそが、現代のWeb採用における唯一の王道です。