今や採用活動に不可欠な3つのプラットフォーム。しかし、同じ求人情報を掲載するだけでは成果は出ません。それぞれのサイトで候補者に「どう見えているのか」を理解し、媒体特性に合わせた情報発信を行うことが、応募を勝ち取るための絶対条件です。
候補者は「検索結果のリスト」を高速でスクロールしている
本題に入る前に、大前提を共有します。候補者は、スマートフォンやPCで、大量の求人情報が並んだリストを高速でスクロールし、一瞬で「自分に関係あるか、ないか」を判断しています。この0.5秒の戦いに勝てなければ、あなたの求人票がクリックされることはありません。
つまり、各プラットフォームの検索結果画面で、限られたスペース内に「いかに魅力的な情報を凝縮できるか」が最初の関門となるのです。
媒体別「検索結果の見え方」比較表
まず、3つのプラットフォームで、検索結果に表示される情報がどう違うのかを一覧で比較します。
比較項目 | Indeed | 求人ボックス | Googleしごと検索 |
---|---|---|---|
職種名の自由度 | 低い(純粋な職種名のみ推奨) | 高い(給与や待遇などの記載も可能) | 中程度(提供元サイトのルールに依存) |
特徴タグの有無 | あり(多数表示) | あり(多数表示) | なし(表示されない) |
給与表示 | タグ形式で目立つ | アイコン付きで分かりやすい | メタデータの一部として表示(ない場合も) |
デザイン | 情報量が多いが、テキスト中心 | アイコンや絵文字が多用され、視覚的 | 極めてシンプルで、ロゴが目立つ |
提供元の表示 | 比較的小さく表示 | 表示される(ロゴなど) | ロゴと共に明確に表示される |
HTML再現 – 各媒体で求人情報はこう見えている
比較表の内容を、より具体的にイメージしていただくために、各媒体の検索結果カードをHTMLで再現しました。(内容はダミーです)
▼ Indeedでの見え方
Webアプリケーションエンジニア
株式会社ダミーテック
東京都 豊島区
【仕事内容】自社開発のSaaSプロダクトの設計・開発をお任せします。要件定義から… React, Node.jsなどのモダンな技術スタックで開発できます…
返信率の高い企業
【候補者は何を見るか】豊富な「タグ」を高速でスキャンし、自分の希望条件(給与、働き方、待遇)に合うかを瞬時に判断します。特に給与がタグとして目立つため、ここの魅力が低いと読み飛ばされる可能性が高いです。
▼ 求人ボックスでの見え方
オープニング/高時給1500円のカフェスタッフ/週2〜
サンプルストア東京本店
【候補者は何を見るか】まず、広告コピーのように魅力が詰め込まれた「職種名」に目が留まります。アイコンで整理された基本情報と、絵文字付きの「人気」ラベルで、視覚的に「良さそうな求人だ」という印象を抱きやすいです。
▼ Googleしごと検索での見え方
システムエンジニア
株式会社DXソリューションズ・提供元: 自社サイト
【候補者は何を見るか】情報が少ない分、「企業ロゴ」と「会社名」が持つブランドイメージがダイレクトに伝わります。知っている企業であれば安心感を、知らない企業であれば「どんな会社だろう?」という興味を抱きます。「提供元」も判断材料の一つです。給与もシンプルに表示されるため、金額の魅力がストレートに伝わります。
媒体ごとのルール解説 -「やって良いこと」「ダメなこと」
各媒体には、求人情報の質を担保するための「掲載ガイドライン(レギュレーション)」が存在します。ルール違反は、表示順位の低下や掲載停止のリスクがあるため、必ず理解しておく必要があります。
【Indeed】職種名にはコピーを入れない
Indeedの基本は「職種名は、職種名としてのみ機能させる」ことです。候補者が「営業」「エンジニア」などで検索した際、的確にヒットさせることを最優先しています。
- NG例: ★急募★未経験OKの法人営業【高インセンティブ】
- OK例: 法人営業
【求人ボックス】職種名でのアピールが可能
求人ボックスは、職種名にある程度の「広告的要素」を含めることを許容しています。これがIndeedとの大きな違いです。
- OK例: オープニング/高時給1500円のカフェスタッフ/週2〜
- NG例: 誰でも簡単!楽しく稼げる!(職種名が不明確なもの)
【Google】構造化データと提供元の情報が全て
Googleはアグリゲーターであるため、直接的な文章のルールより「技術的な要件」を重視します。具体的には、`JobPosting`という構造化データで求人情報を正しくマークアップすることが求められます。
- 重要点: Googleは「提供元」サイトの情報をそのまま表示します。つまり、連携している求人サイトや、自社の採用ページの職種名の書き方が、そのままGoogleの検索結果に反映されます。
【結論】媒体特性に合わせた、求人情報の最適化戦略
これらの違いを踏まえ、企業は各媒体に合わせた情報発信を行うべきです。
Indeedの攻略法
職種名は正確かつ簡潔に。候補者が検索で使うであろうキーワード(例:「営業」ではなく「SaaS 法人営業」)を的確に設定します。勝負は、検索結果で一覧表示される「豊富なタグ」と「給与」です。競合より魅力的な条件をタグで示せるかがクリックを分けます。
求人ボックスの攻略法
「職種名」を広告見出しのように活用します。「オープニング」「高時給」「未経験歓迎」など、最も伝えたい魅力を職種名の先頭に持ってきましょう。アイコンや「人気」ラベルなど、視覚的な要素が多いため、全体として「楽しそう」「良さそう」という雰囲気を演出することが効果的です。
Googleしごと検索の攻略法
表示される情報が少ないため、「会社名(ブランド力)」と「ロゴ」の印象が非常に重要になります。また、「提供元」が明記されるため、信頼性の高い求人媒体と連携することや、自社採用サイト(提供元: 自社サイト)をしっかりと作り込むことが、候補者の安心感に繋がります。タグがない分、職種名で仕事内容が最低限わかるように工夫すべきです。