その求人メディアの企画、勝てるものになっていますか?自社で求人メディアを成功させたいと思っている人に知っておいてもらいたい事業的なチェックポイント

いままで求人メディアの求人広告に頼ってきましたが、どうにも効果がでないので自社で求人メディアを作ってみたいと思います。こんな話を最近ではよく耳にしますが、そのほとんどはホームページ制作会社や採用支援会社がパッケージ販売をするための煽り文句にのってしまい、安易に作る気持ちが高まっているだけの方たちです。だれしも求職者が集まらなくて苦しい時に、希望を感じる提案を受ければ前向きになってしまいますよね。

しかし、重要なのはそうした説明をしている人たちのなかに”メディア事業の経験者”は本当にいるのかということです。メディアというものは作るのは簡単ですが、事業として成立させようと思うと想像以上に大変です。立ち上げた後、軌道にのせるためにやるべきことを知っているのか?それにどの程度のお金がかかるのか?こうしたことをしっかりとわかっていなければ、ただ作るお金を無駄にするだけです。今日は、求人メディアを立ち上げようと思っている方が、成功の確率を上げるための勝てる企画を考えるためのポイントについてご紹介していきます。

市場は必ず上限がある。市場規模をしっかり把握しよう

まず求人メディアというものを正しく理解するところからはじめなければなりません。求人メディアは求人情報を紹介して応募者を獲得するためのネットメディアです。どうやってユーザを集めるかというと、SEO、ネット広告、WebPR、ソーシャルマーケティング、交通広告といったものが主なものになります。ここで最初に知っておかなければいけないのが、市場の人数以上のユーザ数は集まらないということです。たとえば東京という地域に絞って情報通信の分野に特化した求人メディアを企画したとします。東京の人口は約1360万人。労働人口では約780万人となります。この中でさらに情報通信の分野に絞っていくと約70万人が働いており、”転職”などの場合はここが対象となります。(本格的に事業計画をする時は他の地域から働きにでてくる人なども考慮する必要はありますがここでは省略していきます) さらに考えるのは、どの程度の数の人たちが職を求めているのか、そして職を求める可能性があるのかということです。

東京の失業率はだいたい5~6%なので、計算の都合上、ここでは5.5%として考えます。東京の労働人口の780万ですから、約4万人ほどの人は東京で仕事を探している可能性があるということになります。また、情報通信の分野の労働人口70万人は、東京の労働人口のなかで占める割合が全体の約9%。そう考えると情報通信分野は東京に絞るとだいたい3600人程度が仕事を探しているというところが見えてきます。ただし、これは失業者に限った場合です。さらに、現在、就業中ではあるが転職を考えている人たちを足していくわけですが、情報通信分野は比較的、人の動きが大きな市場になりますので、10%程度を対象と考えると70万人のなかの10%で7万人ほどとなります。合計しますと約7.5万人ほどは適切にアプローチすることで、求人メディアの対象者となり得る可能性があるということになります。

ビジネスとは競争である。市場内で戦うことになる競合プレイヤーを確認しよう

市場規模が見えたところで次にユーザを奪い合う競争相手となる、競合プレイヤーたちをしっかりと確認していきます。もし、市場内に競合がいなければ、市場内のユーザはほぼすべて自社の求人メディアに集まってきます。しかし、残念なことに大手から中小まで無数に求人サイトが乱立しているため、どの程度、奪い合う競合というものを意識しなければなりません。まず、主要な業界であれば大手、中堅の求人メディアが必ず競合になりますので、そこだけで20ほどはあると考えます。さらに、小さな求人メディア、派遣会社などの人材系会社のホームページなども競合となりますが、そうしたものを足して考えていくと、雑に考えても競合数は50は下りません。

続いて、こうした競合に勝つために、それぞれが行っているWebマーケティングの状況を確認していきます。最初にチェックするのはGoogleなどの検索エンジンです。主要な求人系の検索キーワードで検索をしてみて、広告の出稿状況を調査したり、SEOに成功している上位表示の顔ぶれを確認していきます。続いて主要競合プレイヤーのソーシャルマーケティングの状況、交通広告の出稿状況などをしっかりとチェックしていきます。最後に各社の求人メディアの機能やソースをしっかりと確認して何をやっているのかを十分に把握していきます。勝てる可能性が極めて低いポイントをまとめてどんどん見つかっていきますので、勝てないところは捨てて、勝てる可能性が高いポイントを絞っていきます。

絶望しないで大丈夫。求人メディアの市場は他の市場と比べると新規参入者が成功しやすい構造があることを理解しよう

自動車や家電などのメーカーなどの市場では大手企業の数社がシェアのほとんどを獲得していて、新規参入企業などはめったにでてきません。こうした市場では、購入した後、良い商品、サービスであれば再度、同じメーカーの商品を購入していきます。また、商品が良ければ、良い商品を持っている自分をアピールするためにも、積極的に周囲の人に働きかけをします。良い商品、サービスを提供する会社がどんどん強くなり、新規参入者が育ちにくいという土壌が構造的にあるためです。しかし、求人メディアの市場は少し違います。現段階では大手はたしかに優勢ですが、それを維持できるかどうかはまた別の話です。その理由はユーザの多くが常に「初心者」であるということ。そして、転職や就職活動というのは「ネガティブ」なものであるためです。

たとえば、スターバックスが好きな人は毎日のようにお店に通います。その結果、スターバックスの楽しみ方をどんどん学習していき、大変な知識を持ち、魅力を十分に理解します。そして、周囲の人にスターバックスがいかに素晴らしいお店かを語るようになります。時には友人もつれていき、楽しい体験を共有し、さらにスターバックスが好きになっていきます。こうなると、競合店にはなかなか乗換えしません。企業側は固定ファンを持つことで収益が伸び、さらにそれによりより魅力的な商品提供への投資ができる。この循環がはじまる業界では新規参入者は不利が働くようになるわけです。

しかし、求人メディアの世界は常に新しい競争がおこり続けており、固定ファンがいないというのが特徴となっています。転職などの活動は永遠に、そして毎日行うという人はいません。多くの人は一生の中でせいぜい数回、多い人でも数十回です。しかも、転職をした後、次の仕事を探すのは数年後であったりしますので、学習によるノウハウの蓄積はなかなか起きません。そのため求人メディアのブランド認知も、先行者優位は新卒分野を除くとそれほどなく、どの求人メディアも常に認知促進のためのマーケティング活動を行い続ける必要があります。これは、毎日、すべての市場内のプレイヤーがスタートラインについて競争をはじめているようなものです。ものすごい脚力を持っているので、圧倒的に前にいっているように見える強豪も、実は、とても足が速いので置いて行かれがちですが、スタートラインは毎日、あなたと同じところにたっています。市場内のユーザが常に「初心者」であるということは、既得権益が発生しにくい状況を作り出すので、求人メディアの新規参入者にとっては有利に働きます。

また、加えて「ネガティブ」であるということも新規参入者にとってはありがたい要素です。持っているだけで自慢ができる、知っているだけですごいと思ってもらえるようなポジティブなものは、常に周囲の人たちに共有していくのでバイラル効果によって市場内で強者が生まれやすくなります。その結果、ブランディング効果が指数関数的に伸びていき、後発の企業は簡単には追いつけない状況が生まれがちです。しかし、「ネガティブ」なものはみんなに黙っている傾向があり、多くの場合、共有されません。このように求人メディアは他の市場と比較すると、新規参入しても成功しやすい環境が整っています。

求職者をどうやって集めるのか、模倣が難しい”奥義となる集客施策”を考えよう

市場はどの程度のもので、どんな競合がいて、大変だけどそれでもチャンスが生まれる可能性が構造上あるということを理解したら、いよいよ自社の求人メディアの詳細な企画のスタートです。ここまでがわかっていると、どの程度までのビジネスになる可能性があるのか、勝ち上がるのがどれくらい大変なのか、そして勝てるチャンスもしっかりとあるということがわかっているはずです。事業性がわかってきたところで、事業を成功させるための差別化ポイントを考えていきます。

最初の段階で着手すべきは、競合がなかなかまねできない集客施策を戦略的に考えることです。求人メディアを立ち上げようとすると、すぐにデザインや会員登録機能などに目が行きがちですが、そういったものは訪問してくれるユーザがたくさんいて、初めて意味を持ちます。最初に徹底的に考えるのは集客です。どんな方法で人を集めるのか、人が集まらなければすべての機能は意味をもちません。

しかも、さらに重要になってくるのが”簡単に真似できない”集客です。模倣が簡単な集客施策はすぐに実行ができます。広告代理店に依頼してアドワーズなどのリスティング広告やindeed広告など回すといったものです。しかし、これは確かに集客できますが、他社も模倣することが簡単なものであるため、結果として多くの競合プレイヤーたちも実施し、激しい競争のなかで結果がでない上に、高いコストがかかるようになってしまいがちです。求職者を集めるため、そして同時に利益を出すためにには競合が簡単に真似できない集客施策を考える必要があります。もちろん、とても大変な作業ですが、ここに求人メディアの成否がかかっているといっても過言ではありません。求人メディアを立ち上げる作業の50%ほどはこの仕事が占めるほど、大変な作業ですが、時間をかけてでもやりきる必要がある仕事です。気合いをいれてしっかりとやりきっていきましょう。

実際の計画では、様々な要因を複合的に考慮して進めていきますので常に完ぺきに進むわけではありませんが、なんとなく求人メディアを作ったら、なんとなく人がきて、なんとなく応募が入るんじゃないかというように、安易に考えるのは失敗につながりやすくなります。市場と競合を見極める、そしてデザインや機能などの検討よりも先にとにかく集客を考えつくす。最後にデザインや機能という順番です。求人メディアで成功したい方は、しっかりと計画を練っていきましょう。